フィリピンの人々の暮らし・文化

【 食べ物 】

まず食材のお話からさせていただきます。フィリピンは周りを海で囲まれていますので新鮮な魚介類を手に入れることは非常に簡単です。同じように肉も養豚や養鶏も盛んですので、その日に絞めた豚や鶏・牛の肉が毎日マーケットで売られています。


          


野菜は、ナスやかぼちゃ・白菜・キャベツ・にんじんなど、やはり日本と同じようなものが揃っていますが、白菜などの葉物は気候が暑いせいか、日本のものより一回りぐらい小さくなります。


             


フィリピンの主食は日本と同じでお米です。お米は、日本の物と比べると少し細長いタイ(インディカ)米になります。値段により美味しさが違い、一番高いものを選べば日本の米とさほどかわらない感じで食べられます。

フルーツは、フルーツは、フィリピンは南国ですので、ありとあらゆるものがあるといっても 過言ではありません。日本では青森などの寒冷地が特産のりんごもいろいろな種類があります。バナナも日本で見かけるバナナの他に、もっとずんぐりむっくりとした料理用のバナナもあります。マンゴーは日本では熟してから食べるのが普通ですが、フィリピンではまだ硬いグリーンマンゴーに「バゴオン」という、日本でいえばアミエビの塩辛をつけて食べます。


          


このバゴオンはフィリピンの庶民の食卓には欠かせないもので、他の料理にも混ぜたりご飯にのせたりして食べたりもします。

庶民の生活において、食材は、日本のように何日か分を買っておいて、冷蔵庫に保管しておくという事はほとんどありません。近くのマーケットに必要なものを1日1回、もしくはその度に買いに行きます。(*庶民層には、冷蔵庫の無い家庭が多数派の為です)

料理のバリエーションは多彩です。ですが、調理方法は煮るか揚げるかの2者択一の場合が多いです。気候が暑いですので、生もしくはそれに近い形の料理はほとんどありません。

他の他の東南アジア諸国では辛いものを好むのに比べて、フィリピンの料理の味付けは、スパイシーなモノはあまりないのです。味付けはしょうゆや酢を使うことが多く、どちらかといえば日本の味に近いともいえると思います。もうひとつ、調理に絶対に欠かせないものは「味の素」です。彼らはこれを調理中の料理に必ずふりかけます。

さて、フィリピンには日本のご飯茶碗のようなものはありません。ご飯はカレーを食べるようなお皿によそって、その横にいろいろな料理を添えて食べます。ですので、箸は使わずに右手にスプーン・左手にフォークといったスタイルで食事をします。(ナイフを使わないのは、スペインの植民地政策の元、支配者であったスペイン人たちが、フィリピン人たちには一切、武器の代わりになるものは持たせなかったからと言う話を聞いた事があります)インディカ米は日本のお米のようにベタベタしませんので、汁気と塩気の多いおかずの汁をご飯に混ぜて指でつかんで食べたりもします。これは日本人が、おにぎりやおすしを手づかみで食べるのと、感覚的には同じです。


          


食器については、日本のように、家族それぞれの箸やお皿が決まっているということもありません。

また、先にも書きましたように、フィリピンの庶民層は大家族の家が多いので、日本のように家族全員で食卓に揃って食事をするということはあまりなく、各自が順番で食べていくというスタイルがほとんどのようです。


【 外食 】

フィリピンにも、もちろんいろいろな外食産業があります。ファーストフードからファミリーレストラン、そして高級店までそのバリエーションは多彩です。そして、少し前の日本のように、庶民にとっては、外に食事に行くというのは、子供から大人まで心がわくわくすることのひとつです。

フィリピンの人はフライドチキンがとても好きです。そして、お昼でもお米を食べたい(実はフィリピンでは、朝食はパンなどで軽くいただいて、お昼をしっかり食べるという食習慣があります)という事から、マクドナルドのようなお店でもお米のメニューがあります。

そのマクドナルドよりもはるかに有名で人気のあるファーストフード・チェーンに「Jollibee」(ジョリビー)があります。


          


「Jollibee」は日本のマクドナルドと同じようにハンバーガーのメニューもありますが、先ほど書きましたように「フライドチキンとご飯のセット」と「ちょっと甘いスパゲティ」のふたつが人気です。入り口にはマスコットの蜂(beeなので)が立っていて、ショッピングモールのお昼時には他のお店はすいていても「Jollibee」には行列ができています。家族の子供達や大人も「お昼何を食べる・・・」と聞くと、ほぼ全員が「ジャリビー」と答えます。

その他にも、ピンからキリまでいろいろなお店があります。セブ周辺には本格的な日本食レストランも多く、日本で味わうよりも割安で尚且つ、レベルの高いお店が多いです。

また、学校の帰りの子供が、普通の家の軒先でご飯を食べさせてくれるお店でお昼を食べているのも、よく見かけることができます。


               



レストランタイプのお店では、会計をする時に、日本のように伝票を持ってレジには行きません。テーブルで従業員の人を両手の人差し指と親指で四角を作って呼びます。そこでお金を渡して会計をしてもらいます。一度会計に戻りレシートとお釣りがある場合はもう一度持ってきてくれます。このお釣りの中からチップを置いていったりするのが、こういうところでの綺麗なチップの渡し方のようです。

大体どこのレストランでも、食べ残ってしまったものを持って帰れますので「テイクアウト」とお願いすれば、ビニール袋か専用パックに入れて貰えます。日本人は変な見栄が出てしまってなかなか言いづらいのですが、フィリピンではこれが常識で、別に恥ずかしい事でもなんでもないのです。


【 偏見 】

これを読んでいただいている方で、元々フィリピン人に対してなんとなく偏見というか先入観を持ってしまっている方のほとんどは『フィリピン人=ふしだら』といったイメージがあるからではないでしょうか。

この『ふしだら』といったイメージは、どうしてできてしまったのでしょうか・・・

これは、まず日本に仕事に来られているフィリピン人のほとんどが『水商売』に関係しているという事からのイメージではないでしょうか。日本国は外国人に単純労働等のVISAをほとんど発給していないので、かなりの専門職でなければ仕事での入国はできません。そこで、彼女達はエンターティナー(歌手やダンサー)という資格をフィリピンで得て、その資格で、これまで多数、日本に入国して来た訳です。


          


また、同じく日本は、東南アジアの国の人の、日本への観光VISAの発給も厳しく制限していましたので、欧米の人のように気軽に観光で日本に来るということもできませんでした。よって、こういった資格で入国したフィリピン人以外の人達をあまり見かけるチャンスが無かったわけです。

先にも書きましたが、彼女達は自分の遊ぶお金が欲しくって、日本くんだりまでやって来たわけではありません。家庭の事情(主に貧困という環境の中)で彼女達がお金を稼がなくてはいけない状態になってしまって、しかたなく日本まで来たわけです。ただ、残念ながらアジアNO1の経済力を持つ日本へ入国するには、そういった職業を選ぶ以外に道は無かっただけの話です。

そして、たかだか100年程前には、ほぼ同じ状況で、反対に日本からフィリピンや他のアジアの国に出稼ぎに行っていた人もたくさんいたのです。(これらの日本人女性を、その昔‘からゆきさん’と呼んでいたのを転じて、日本で就労するフィリピン人エンターティナーたちを‘じゃぱゆき’と呼ぶようになったようです)

また、もうひとつの要因としては、フィリピンや他のアジアの国から、一昔前は、よく聞こえて来た、「日本人の売春ツアー」の存在でしょうか・・・。

これは実際にそういった形の商売はあります。簡単に言ってしまえば「日本と他のアジアの国の経済力の差から来る、こういったものの価格の安さ(日本と比較した場合の)」と「他のアジア人種への日本人の優越感」のふたつが大きな理由でしょうか。



          



ですが、日本人向けの(欧米人などもお客さんにはいるようですが)このような商売を、その当の日本人が批判できるのでしょうか・・・。もし批判できたとしても、それでは、このような商売は日本には無いのでしょうか・・・。客観的に見れば日本の方がより多種にわたって、そういった商売は多いのではないでしょうか・・・。何のためにというのは、そういうことの理由にしてはいけないのかもしれませんが、家族生活のためと自分の遊ぶお金欲しさとでは、果たしてどちらの方がより『ふしだら』なんでしょうか・・・。

こういった商売の事を抜かして、日本とフィリピンの普通の男女間の関係の事を比較して見ますと、これはもう何倍も日本の方が乱れていると言い切れます。フィリピンはカトリックの国ですので、普通の家庭に育った人の男女関係に対する躾やモラルはいまの日本の何倍もしっかりしています。日本のこの頃の男女が、人の目も気にせずに、いちゃいちゃし合ったりする姿は、フィリピンの方が圧倒的に少ないかと思われます。ただ残念なのは、そういったものも自分の国の現実を把握できる年頃になってくると、将来への不安や貧困などから崩れていってしまう人も多いという現実もあります・・・。


【 ジャピーノ 】

この話は、触れたくないという気持ちもあるのですが、これを語らないで日本とフィリピンの話をしても、それはただの綺麗事になってしまうと思い、あえて書かせていただく事にします。

「ジャピーノ」とはジャパニーズとフィリピーノのふたつからできた造語で、ようするに、日本人とフィリピン人の間にできた子供という意味ですが、「ジャピーノ」と言った場合には、多くの場合、『日本人の父親に捨てられてしまった』と言うニュアンスを伴います。

ひとつは、日本国内や、フィリピンで知り合った日本人男性とフィリピン人女性が、大人の関係になり子供ができてしまい、諸諸の事情から結婚をしないうちに別れてしまい、その子供だけがフィリピン人のお母さんと一緒に取り残されてしまう・・・というもので、はじめから結婚なんかするつもりもない日本人に騙されてというフィリピン人女性もいます。

もうひとつは、結婚はしたものの、その後、諸諸の事情から離婚してしまい、お母さんが子供を連れてフィリピンに帰ってしまったという例です。


               


こういった事の後に、ちゃんと父親としての責任を果たさずに、経済的な支援をまったくしなくなってしまう日本人がいます。中にはもっと悪質な例もあります。奥さんと子供がフィリピンに里帰り中に、旦那さんが日本サイドで、奥さんに何の相談も無く籍を抜いてしまって、そのうちにVISAが切れてしまった奥さんが(外国人の奥さんは日本人の配偶者としてのVISAを貰って日本に滞在していて、1年や3年といった期間で更新をしなくてはいけません)日本に再入国できなくなってしまっているという事実もあります。

日本人とフィリピン人の国際結婚の統計では、2001年の結婚数は7,243件で離婚数は3,025件。2002年は結婚数が7,734件で離婚数は3,210件となっていて、その離婚率は42%にもなります。


           


この数字の現実は重いものがあります・・・。国際結婚の手続きは同じ国同士の人の結婚に比べるとその何倍も大変ですし、そこまでの道のりも平坦ではないはずです。そういった大変な思いをしたにもかかわらず、あっさりと離婚をしてしまう・・・。

わたし達は、そういった事実があるということに目を伏せずに、ではどうしていったら良いのかということを考える必要があるのではないでしょうか。もしかしたら、日本人の持つフィリピン及びフィリピン人のイメージを悪くしてしまっているのは、

わたし達なのかもしれません・・・。




「人々の暮らし」(セブ版)
原文:まさとも 校正・編集:CSE−IT委員会




【あとがき】

最後までお読み下さいましてありがとうございました。
フィリピンという国、セブという島について、どんなことを感じましたか。

フィリピンやセブ島で起こっているようなことはなぜ起こるのでしょう。

私たちに出来る事は、何かあるでしょうか。

途上国と呼ばれる国々には、この様な子ども達が大勢います、
「かわいそう、貧乏」といった目に見えるものだけでその国をとらえるのでなく、
私達と同じように「今、生きている人々である」という共感を持って頂ければ嬉しく思います。

子供達の未来の為にも、、、
私達はセブ島での教育支援について、じっくり取り組んで行きたいと思います。

ありがとうございました。




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