【去年も多かった海難事故】   
 
昨年も相次いで起きたフェリーなどの海難事故を受けて、首都圏で運輸通信省・海事産業省・沿岸警備隊・民間運航業者等が集まり事故防止に向けた四者会議が6日に開かれ、メンドーサ運輸通信長官は「船員の能力低下による人為的ミスが増加している背景には優秀な船員は海外へ流出してしまい国内には能力の低い船員が多く船員間での安全意識が低い」と海難事故の問題を指摘し、会議は船員批判に終始したという事で、なんか責任転嫁の様に感じてしまいました。
 
運輸通信省は国立船員養成学校卒業者に対し最低2年の国内就労を義務づける法整備を検討中という事ですが、2年経てば優秀な船員は皆給与の良い海外へ行ってしまう訳で、国内で仕事を続けられる様な国にしないと、そんな法律をいくつ作っても問題解決にならないと思います。船員だけでなく医師や看護師や各分野の技術者など、国内で能力を発揮出来なかったり賃金が異常に安いため、フィリピン国内では未来が見えず生活も不安なので船員に限らずこの国の全ての職種で「人材の海外流出」が止まらないのですね。
 

       
 
 
今回のフェリーに関しては、さらに船体の整備状況や点検及び安全基準がいい加減というか守られていない様にも思います。去年は8件のフェリー転覆事故があり多くの死者が出ましたが9月に900人以上が乗ったスーパーフェリー9が転覆し100名以上が行方不明のままという惨事になりましたが、フェリーの会社から死亡した被害者の遺族に補償金として提示されたのは1人につきたったの20万ペソ(日本円で40万円)だけです。

フィリピン国内でも20万ペソでは1年も暮らせませんが、これを不服とすれば裁判に勝たなければなりません、でも弁護士を雇い争っても弁護士費用で補償金さえ無くなってしまう可能性があるので、結局は泣き寝入りになってしまう事が多い様です。
 
        

ちなみにフィリピンのフェリーや中型船の殆どが日本で運航していた中古の船で、今回転覆したフェリーは日本では「ありあけ」という名前だったそうです。スーパーフェリー2は「すみよし」スーパーフェリー5は「はこざき」という名で数十年前に日本で新門司と大阪の間を運行していました。
 
7000を超える島々からなるフィリピン共和国ですから、海上交通は国民や観光客にとって重要な移動手段ですが、この様に昭和40年代(1970年代)に日本で造られて運用され退役したフェリーが、ここフィリピンでは現役で活躍していて、日本で運航していた年数よりも長くフィリピンで運用されているくらいですから、船体の整備状況や点検や安全には相応の注意が必要だと思います。
 
 (ももんが)   


             


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