「貧困って何?」

世様々な国際機関で「貧困」というものを定義していますが、1日1ドル以下などという単純なものではなく人間が生きていく上での様々な側面が関わってくる為に、何を以て貧困とするのかを判定するのはとても難しいものです。


    


貧困とは、経済・教育・保健・栄養・安全の確保において受け入れがたい「剥奪状態」だと世界銀行は定義し、人間開発に対比して人間的な貧困、つまり健康な生活、知識、経済や資源、そして地域社会への参加などの基本的な能力が「剥奪された状態」だと国連開発計画は定義している様です。

一番目に見えて判定できるのは、やはり数字として比較出来る経済レベルで、所得や消費や家屋などの資産などを数字にする事で物質的な豊かさを判定するものです。しかしアフリカの狩猟民族が着るものもお金も無く自分の家や土地さえ持っていなくても貧困とは言いません。

この様に、数字にする事が難しい栄養、教育、安全、社会的な能力、地位、権利、自由度などについては、万国共通の基準を設け数字で表すなどというのはとても難しい事です。


      


でも、病気などに対する保険・栄養、識字から教育等は生きていく為に、人としての幸せや豊かさの格差を無くすために最も重要な要素ではないでしょうか。この能力が向上すれば貧しい人々は生計や生活を改善するチャンスが出来て、地域社会に参加することも可能になると考えます。
 

支援と言っても、経済的・開発的支援が貧困の克服に必ずしもつながっているわけではありません。セブ島とマクタン島には日本のODAによって2つの大きな橋が掛かっていますが、橋を架けた事によってマクタン島にある国際空港や経済特区への交通量が増えた結果、この地域の経済効果は上がりました。


        


ところが地元で暮らしている庶民はというと、それまでより一層、市場経済に巻き込まれて格差が生じ貧困度は高まってしまったという事になってしまっていますし、セブ市の南西にある広大な面積のSRP埋め立て地に至っては住民を立ち退かせてアクセスの為の道路や橋を架けて整備をしたにも関わらず、埋め立て地は全く機能せず広大な空き地は一部葦原と化しています。これも日本からのODAによるものですがセブ島のとなりボホール島でも貯水量が確保出来ないダムの建設で農民の負担は増大し問題になっています。
 
莫大な資金を投入して誰がどのような利益を享受した事業なのか・・極めて疑問です。
 

  


この様な環境を変えてしまう様な事業は、そこに住む人々の民族や文化、そして地域や生活のレベルや能力などを加味し改善してから計画すべきであるのに、教育を受けていない住民がその様な計画を聞いても自ら判断する事が出来ないのに単に経済指標のみで事業を決定し実行してしまったのではないか、結果、貧困というものの拡大に繋がってしまうのではないかと考えます。
 
国の経済・政治や文化という社会的な影響だけでなく、貧困の要素に絡む天候や地形、そして歴史などから来る社会的階層、また地域や行政区域別、農村や都市でどの様な影響を与えるか、そしてそれぞれの不平等や格差をしっかり把握した上で大きな事業は進めなければならないのもだと思います。


       


今月3日には小学生のおよそ4分の1に当たる3670000人の児童が栄養失調に陥っているという事が今更ながら明らかになり、教育省と保健省はジャンクフードから栄養価の高い食事への切り替えを奨励する共同キャンペーンを始めました。しかしこの数字でさえ児童として把握できる学校へ通っている子ども達以外も調査したのか、そしてその調査の方法は適正であったのかも疑問です。

時同じくして日本も農村の貧困削減の為の農地改革と災害防止の支援などに194億円を割り当てると発表しました。日本は無償援助や融資から技術協力や開発研究に至るまでこれまで最大の政府開発援助提供国となっていますが、果たして一般市民(大多数の庶民や農民)への効果はどのくらいあったのでしょうか。


  


汚職監視の国際的NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)」に依れば世界腐敗バロメーターで腐敗度の高い国トップテンに入ったと6日にManila Timesでも報じられたこの国・・・。

ODAなど莫大な資金を投入して支援しても誰がどのような利益を享受するのかしたのか・・・。その疑問に住民自らが気づく必要があり、なぜ貧困が存続するのかを地球規模で考える必要があります。国立フィリピン大学(UP)のタデム教授は2008年3月25日、過去20年のフィリピンに対する379億2,000万ドルの外国援助が比人の福祉向上に貢献することはなかったとする考えを示しています。

いつも犠牲になるのは弱い者、とりわけ子供達なんですよね。。。




(ももんが鈴木)  


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